4thアルバム「Love Letters3~祭りの国で」インタビュー

前回のアルバム「福山潤、愛を歌う!」から約2年振りのアルバムということなんですけれども、アルバムが完成した今のお気持ちから教えて頂けますか?

福山:今現在、発売がもう間近になって来たんですけれども、我々の普段の仕事である声優の仕事とかになって来ると産みの苦しみというのは、演じる上での産みの苦しみみたいのはあったりするんです。

こういうリーディングだけじゃなくて、自分の個人のプロジェクトになって来ると、自分がどういう風にやろうとするのか、もしくはどうやって行くのかって、普段の仕事ととはまた違った自分のOKラインっていうのを、自分で設定して行かなくてはいけないっていうことがあり、その部分で苦しいってことはないんですけど、あの時、一日で濃縮して作ったものがようやく世に出るんだっていう、ちょっとした緊張感がですね、発売した後だったらまた違った気持ちになるんでしょうけれど、発売する前なので、弱冠緊張感がありますね。

なるほど、ドラマCDとはまた違って、トラベリングポエムという形でCDを出されている方っていないですよね。

福山:そうですね、元々この世界に入ってお仕事をさせて頂くようになってから朗読だったり、ポエトリーリーディングみたいなものというのはとても興味があって、例えば短編小説の読み聞かせみたいな朗読から、詩編をパーカッションであったり、音楽に合わせたポエトリーリーディングっていうのは行く行くはやりたいっていう願望はあったんですよね。

それで自分のアルバムを作らせて頂くことになって、プロデューサーの方とお話しをして、「リーディングをやりませんか?」って言って頂いて、旅をする手紙を書いて送るようにしようと、そしてミュージシャンの方に入ってもらって、楽曲もオリジナルでやって行こうという、最初はそういったアイデアから出発したものだったんです。

こういった形で一つのジャンルに近いぐらいのシリーズでやらせてもらえて、しかもいろいろな方達とコラボレーションさせて頂いていて、シリーズを重ねるに当たって、どんどん難易度やハードルも上がるんですけど、その分、自分の中でやれること、そしてやりたいことも出て来ているんですよね。

なのでこのポエトリーリーディングという、やっている人があまりいないかもしれないし、数少ないかもしれないジャンルの中でこういった形でやらせてもらえるっていうのは、本当にやる度に楽しいなと思うのと同時にありがたいなって思いながらやっていますね。

「Love Letters」シリーズというのは独自というか福山さんご本人のエッセイ的な匂いもするし、そこが既存の作品があってそれを読むというのとは違いますよね。
実際に読まれている詩はご自身の意見も反映されていたりはするんですか?

福山:まず詩を作って頂く前に僕とプロデューサーの方で、こういうインタビュー形式でいろんな話を振ってもらって、それについて話してという中で、いくつかの僕の考えだったり、気持ちだったりっていうのが入った状態のものを岩里祐穂さんにお渡しして作ってもらうという形ですね。

手法としてレコーディングではいろいろな作り方が出来るんですけど、例えばリーディングとリーディングをオーバーラップさせることも可能じゃないですか。
だけどそれをやるとライブになった時に、その部分での演出が難しくなったりだとか、収録の時もまたちょっと別個の作業になったりする中で自分としては一本で読めるものにしたい、そして読むものにしてはテクニカルになり過ぎないものにしたい、耳で聞いていて、ちゃんとリーディングを理解出来るというものにしたいという、手法としての意見は言わせてもらうことはあるんですけれど、詩の内容に関しては今まであんまり言っていないですね。

ただいくつかの相談の中で前回の「Love Letters 2」でパリを舞台にした時に、最初の「Love Letters」の詩の中のシチュエーションが自然の中だったので、出来れば人を出してほしいって言ったんですよね。

今回はセリフを出したいってなった時にアルバムの内容がリーディングがメインなので、その代わりリーディングの何割も占めるぐらいのセリフの量にはしないでほしいみたいな、こういう実際にやる前の段階でいくつかのテクニカルな面に関する意見は言わせてもらっていますね。

なるほど。

福山:ただ内容に関しては僕も楽しみにしているので、事前にこういうふうに作ってほしいっていう要望をたくさん出して、先に内容がある程度わかってしまうと、僕の中での楽しみがちょっと減ってしまうかなって思うんですよね。

岩里さんが今回どんな詩を書いてくれて、プロデューサーさんのアイデアがどんなものなのかとか、人のアイデアを読むというのがものすごく楽しいので、内容に関しては上がってから、こういうふうにちょっと変えて良いですか?ぐらいは多少はあるんですけど、それ以外は全面的におまかせしていますね。

そうなんですね。今回の詩の中で前作のアルバム「福山潤、愛を歌う!」の収録曲である「Program Me」のことが出て来たので、これはどこまでご自身の意見なのかな?と思ったんですよね。

福山:何より僕を主人公にした朗読なので、実際には「Program Me」のレコーディングの時にあのやり取りはあったんですよ。
でもそれをそこに当てはめるっていうアイデアはたぶん僕の中には全くないものでしたね。

もし僕が100%そこに関わるとなって来ると、読み手側の意見になってしまうので、読んでる部分としてああいうくだりがとても難しいんですよね。そこを避けたくなる瞬間って出て来るんですよ。それを信頼しておまかせする一つの理由が、僕がちょっと尻込みしてしまうところをやらない?って言って来てくれるっていうんですかね。

そう言ってもらえると、じゃあ、やろうかな!って思えるっていうか、一つ一つ自分の中の経験というインデックスが増えて行くというのはありますね。

なるほど、あそこがあると聴いている側にはリアルな感じがしますよね。

福山:あれが丁度、2年前のアルバムの制作の途中から出発してという話になるので、あの部分があることによって時間軸もハッキリして来るんですね。

実際に僕が経験した時間でそこからどういう分岐をするのか、もしくはそこの延長上に今があるのかっていうのは、パラレルなんだけれども現実とリンクするような、ちょっとドキュメントチックなものにも聴こえるというか。

あそこのアイデアを入れ込んで頂いて、その後の五感の旅に行くまでの、僕の位置付けとしては一つのストーリーの中のアバン的な立ち位置ではあったんですけれど、そこのところがよりコントラストが出て読んでて楽しかったです。

なるほど、過去の2作の「Love Letters」はタイトルを見ると、どのような旅なのかわかる感じだったのですが、今回はそれぞれのトラックのタイトルを見ると、えっ?これはどこに行くの?という感じですよね?

福山:そうですよね、南米に行って、パリに行って、じゃあ、次はどうしようか?って話はもうその時からしていたんですけど、「今度は和で行かない?」ということになって、「日本ですか?」っていうところからしばらく経って、東洋というもっと大きな括りにして、そして今度の旅は最初は内なる旅っていう、異次元に旅をするみたいなところから出発したんですよね。

物語のようなストーリーがある部分の割合を大きくしたいっていうところから始めて、時間が少し経ってから、この祭りの国っていう五感の旅というか内なる旅の方に行こうと。

外に行って実際に自然を見て、人を見て、そして生活を見て、今度はどこのロケーションに行こうかっていう時に、じゃあ、内なるものに行きましょうというところで、またちょっと現実とはかけ離れた部分はあるんですけれど、そういったコントラストの付け方で場所と言うよりも立ち位置という位置付けでの違う場所への旅というところでしたね。

実は毎回というか1、2の時もそうだったんですけど、これで行こう!って言われた時に言ったのが、「また、難しいの持って来ましたねー!やりましょう!」って(笑)、そういうやり取りが必ずあります。

(笑)、今回はインナーワールドの旅ってことですよね。

福山:はい、そうですね。 やっぱり自分だからこそ、しかもリーディングだからインナーワールドへの旅っていうのも表現するのはたぶんそんなに難しいことではないと思うんですよ、ビジュアルがない分。
だけど聴いている方達にどれだけイメージを持ってもらえるか、頭の中でビジュアル化がどこまで出来るのかっていうところが、今度は勝負になって来るので、そこのところの意識だったり、自分のイメージをより明確に持って、リーディングに望まないといけないなっていう気持ちはよりありましたね。

もしリーディングっていうものの面白さを、一人でも多くの方に知って頂いて、そこにハマってもらえたら

前作、前々作と比べて、今作は全然違うなという感じがしますよね。

福山:僕もやる度に違うもので、読んでいるのも僕ですし、同じリーディングの手法のはずなのに、だけど毎回、毎回、違う感覚で、実際に出来上がったものを聴いても、スキルアップということではなくて、自分の中でリーディングに対する捉え方がポエトリーリーディングに近いこのトラベリングポエムなものに関して、アプローチの仕方がちょっと変わって来たなっていうのは感じていますね。

視覚のトラックで“この部屋の中にある赤い色を数えて下さい”という一節はついつい聴き込んでしまいますよね。

福山:あそこはリーディングと言うよりも、自分の中のイメージとしては小さい小劇場で素舞台でスポットライトを浴びながら、みんなに言っているようなイメージでやらせてもらったので、自分の中のメンタリティ的なアプローチが全く前後と違ったので、あそこのところが聴いている方も面白いって思って頂けるセクションになれば、これはしめたものだなと思いながら楽しくやってました。

とてもあの部分は引き込まれる気がしましたね。

福山:ありがとうございます。

声優の方がリーダー作としてCDを作られる時は歌がメインの方が多いですが、たぶんこういうふうに言葉で聴きたい人も多いと思うんですよね。その場合、大抵はみなさん何らかの役柄を演じるというドラマCDが多いので、このアルバムのようにご本人がっていうのは興味深いなって思いますよね。

福山:はい、半ば実験的なものも多々あったとは思うんですけど、前例があまりなかったことではありますし、僕もやりたいジャンルだったんですけど、やりたいからと言って出来る世の中ではないじゃないですか。

1作目は歌の中に約20分のリーディングのパートがあってという形での混合のアルバムでしたけれど、2作目は歌も無しで完全にリーディング・オンリーでってなった時に、プロデューサーさんものすごい冒険をさせてくれるなって。

歌って1曲でもキャッチーなものがあれば、何となく、あっ!って思って頂けるとかと思うんですけれど、リーディングだと1編だけを聴いてもらっても、よくわからないっていうのが正直なところだと思うんですよ(笑)。
そういうものをやらせてもらえるというのが、ある意味、怖い部分っていうのもすごくあったんですけど、自分がリーディングをやりたいって思ってたことは勝手に自分の中でやりたいと思っていたことだったんですよね。

当時30歳の頃は35歳ぐらいから、ちょっとずつ自分で稽古とかやりたいものをやり始めて、40歳ぐらいで自分で小屋を押さえて、仲間とか知り合いとかを誘って、それでこぢんまりと出来たらなぐらいのビジョンしかなかったのが、こういった形で世に出させてもらうだけじゃなくて、そういった読む場所を与えてもらえて、何よりこういったことをやらせてもらうことで、さっきおっしゃって頂いたみたいに歌とか台詞だけじゃなくて、声としてのリーディングを聴きたいと思って下さっている方がどれだけいらっしゃるんだろうか、ということを僕らはもしかしたら探していないんじゃないかなっていうのもあって。

そういったもので楽しんでもらえる需要があるんだったら、もっともっとこれをやりたい人もいるはずだし、もしリーディングっていうものの面白さを、一人でも多くの方に知って頂いて、そこにハマってもらえたら、本来の朗読劇であったりだとか、読み聞かせというものであったりっていうものにも、足を運んでもらえるようになるんじゃないだろうかみたいな、そういった思いもあったので、だから自分にとっても実験的ですし、聴いている方にとってもどのように聴いてもらえるのかっていう出発だったんです。

だからさっきおっしゃって頂いたこととかを聞くと、あっ、やっていて良かったなと思いますね。

意外と普通にかけて何かをしたりしていますよ。例えば朝の支度の時に音楽じゃなくて朗読の掛けたりっていうのを、今回のアルバムを聴かせて頂いて、全然良い感じって思いましたね。

福山:自分の中でラジオを朝AMとか流しながら聴いてやる感覚に近いぐらい身近なものになるのが理想ではあるんですよね。

人の話し声、歌とかの決まったメロディでじゃなくて、こういうふうに喋ってるっていう、声ではなく音と考えても喋ってる音って、結構、耳心地が良かったりするじゃないですか、だから僕にとってはこの“喋る”ということが、演者の人にとっての楽器みたいなものなので、音として実際に音楽が流れてて詩があってって、いろんなものが混合されて、そういった耳心地の良い音として捉えてもらえるようになって、これは一つの形としては理想なんだよなとは思いますね。

個人的にはこのシリーズは続けてほしいなと思いますね。

福山:嬉しいですね!個人的にはリーディングはずっとやって行きたいんですよ。

なので、今のところ予定はないんですけれど、プロデューサーさんの中では次の構想があると仰っていて、次はどういうふうな形になるのか、「Love Letters」なのか、また違うものなのかとかもまだ僕はわからないですし、仮に「Love Letters」だったとしても、いろんな手法が出来るような、例えば今回のこのCDでも聴いて頂くとすごく思うのが、朗読がメインではなくて、音楽がメインでもなくて、両方がメインであるっていうのが、このトラベリングポエムの僕の一番こだわってる部分だけではなくて、大好きな部分ではあるんですけれども、音楽の説得力に言葉と詩の、言ったら決定づけるイメージっていうのを聴き手に渡すことによって聴いている方がよりそれを膨らませるっていう、この「三者の協力体制」っていうのが、とても良いバランスで出来てるんじゃないかなと思うので、こういったことは続けられるならやって行きたいです。

独自の世界を切り開いてる感がありますよね。楽しみですよね。

福山:本当にありがたいなっていう一言ですね。まさかこんな形でみなさんに受け入れてもらえるようになるなんて思っていなかったので。

最初の声出しの時に、あばらイテーなぁ!って思いながら(笑)

今回のアルバムは曲も3曲収録されているので、それもまたお得感がありますよね。

福山:こういったストーリーがある中にオープニング、エンディング、挿入歌ってなって、一つのパッケージとしてのCDのイメージ、もちろんビジュアルのブックレットもあるので、何か一本の中編ぐらいのアニメーションを見るような感覚で手に取ってもらって触れて頂けたら、僕自身としてはとても嬉しい形だなと思います。

今回、オープニングテーマの「目隠しの真実」なんですけれども、今までの楽曲と一線を画すというか、激しめの曲調ですよね。

福山:ですね!はい。
だから最初に聴いた時に、あっ!こんな激しい曲なんだ!ってビックリしました。

実際に歌われる時はどうだったんですか?

福山:今まではどちらかと言うと、ちょっとコミカルなものであったりだとか、本当にバラードチックなものであったり、可愛らしいものもあったりとかだったんですが、こういうスロットで、自分がキャラクターを借りずにやるに当たって、こういう激しい曲を歌う時とか、どういうふうに今まで自分は歌っていたんだろうかとか考えました。

激しい曲調の歌って、カラオケとかでもあんまり自分は歌っていないんですよね。

なので、ここが出発なんだよなぁって、変に考えないでストレートに出せるものと、自分の中でやりたいと思ったこともやって行こうっていうものもありつつ、何より自分の中ではちゃんとこの物語が始まるオープニングテーマとして感じてもらえるようにしたかったので、これがタイトルバッグの映像を付けるならどういうふうになるだろうかって思いながら自分でも歌詞を追うだけじゃなくて、イメージしながら歌わせて頂きました。

じゃあ、歌う時はあまり苦労せず歌えるタイプなんですね?

福山:いやー、この歌っていうよりもこのプロジェクトの始まりで、歌はメチャメチャ苦労したんですよ(笑)。
出発点が僕、歌も含めて音楽のことをよくわかっていなかったので、キャラクターソングっていうものとしては以前からも歌っていたんですけど、何となく反射神経でやっていた感じがあって、それでこのプロジェクトで歌を歌わせてもらうに当たって、あっ、そういうことだったんですね?っていうのは結構あったんですよね(笑)。

例えばリズムの取り方とかね、結構、勘でやっていたという(笑)、なのでいろいろ今までこのアルバム制作での経験にプラスして、自分でもやりたいこととかをドンドン歌に乗っけられたらなと。

なるほど、個人的には以前のアルバムに収録されていた「ゴミ収集車の唄~私の四畳半ライブ」は名曲だと思うんですけどね(笑)。

福山:ありがとうございます!
あれはもう本当に多くの方に愛される歌というか(笑)、でも本当に今思うんですけど、よくあれを入れましたよね、アハハハ。

あれは役者の先輩のチョーさんという方が、作詞作曲してくれて、半ばコントみたいな形でワンコーラスだけをアカペラで歌うっていうのがあったんですよ。
それをプロデューサーさんが聴いて、あれを完成品にしない?っていう、そこからが出発点だったんです。

いや、あの曲は聴いているとゴミ収集車への切ない想いがラブソングに聴こえて来ますよね(笑)。

福山:えぇ、あれ最初はあまりにもノリノリ過ぎてあれでPVを作ろうかって話しもあったんですよね(笑)。

ちょっと見たかったですね(笑)。

福山:止め絵の写真みたいな形でDVDに入ってるんですよ。

じゃあ、改めてチェックしないとですね(笑)。そして今回、あのポンチョーヌの歌も・・・。

福山:はい、再び!

今回は「気になるアイツはポンチョ~ヌ音頭」ということで音頭なんですが、これは改めて歌い直しはしているんですか?

福山:はい、歌い直していますね。

なぜ、音頭に!?と思ったんですけれど(笑)。

福山:僕も最初に「Love Letters 3」の企画と一緒にまだこういう形になる前に、まず「ポンチョ~ヌ音頭」を作りたいと言われて、「音頭?全くイメージ出来ないですね」っていう(笑)。だからてっきり「ポンチョ~ヌ音頭」という全く違う歌を作るのか、それともリミックスとして音頭バージョンなのかっていうのが、お話しを頂いた時はイメージが湧かなかったんです。
そんな中で、リーディングの詩が出来上がって、その中のシーンで聴こえて来るものだというので、「音頭」とは言ってるんですけど、歌詞は全く変わってないので、あの中に出て来る一節の歌詞が今回のリーディングの世界と合致してたりとか、そこで、あっ、なるほどここで繋がったなって。

そうなんですね?

福山:♪あぁ非日常と 日常の境界線 それってきっと 最初から無いよ♪っていうフレーズとかですね。「気になるアイツはポンチョ~ヌ」は僕もとても大好きな歌なので、よくお風呂に入りながら歌ってるんですよ、アハハハ。

最初のレコーディングの時も、あの当時は僕の同い年の何人かの仲間も一緒にコーラスに入ってくれて、友情出演でやってくれたりとかしてたんですけど、今回はスタッフの人達みんなで、マネージャーも引っ張り込んで、あそこの♪ポンチョ、ポンチョ♪の下りを歌ったりとかして、そしてスタジオも実際に「ポンチョ~ヌ」をレコーディングしたスタジオとは違うんですけど、最初のアルバムをメインで作っていたスタジオで収録させてもらったので、なんか懐かしいなって思いながら収録しましたね。

運命チックというか、運命の輪が回っている感じですね。

福山:はい、何かとても素敵な、この偶然の符合と巡り合わせもあって。

こうやってお話しを伺っていると、より一層、作品に対して興味が湧いて来ますね。

福山:ありがとうございます。

そしてもう一曲、「トラベリンマン」ですが、こちらはとてもポップで爽やかな楽曲ですよね。

福山:そうですね。一応エンディングテーマにはなるんですけれど、もしかするとこの曲は「Love Letters」という企画のテーマソングになってるなとは思いますね。
この楽曲の歌詞は今まで旅して来たところで出会ったものであったり、そこで感じた言葉に綴ったものを歌詞に取り入れていて、今回の締めくくりになっているので、エンディングテーマ兼この企画のテーマソングとして、この「トラベリンマン」があるんじゃないかなって思いますね。

壮大な曲と歌詞ですし、ああいうタイプの歌も今まであまり歌ったことがなかったので、レコーディングは個人的に大変な部分もあったんですけど、そこは乗り越えて(笑)。
でもレコーディングの2日前の日が大雪だったんですけど、そこで僕はあばらを痛めるっていう(笑)。

えー、歌う時に大丈夫だったんですか?

福山:歌は歌えたんですよ、でも最初の声出しの時に、あばらイテーなぁ!って思いながら(笑)、でも始まると痛くなくなったんですけどね。

そんな苦労があったんですね。

福山:そんなことがありましたね(笑)。

でも2曲ともカラーが違っているけれど、それぞれ楽曲としてとても良い曲ですよね。

福山:はい、ありがたいですね。
だからもし「トラベリンマン」が本当に「Love Letters」のテーマソングになるんだとして、仮に次が4だとして、また「トラベリンマン」を入れることになったら、また歌い直して、バージョン違いとか歌えたら良いなと思っていますね。

“僕ってこういう人だよね”っていうのが、みんな共通見解で同じ人物になるのがイヤだっていうのがあって(笑)

それも楽しみですよね。では今回のアルバムを作るに当たって、一つ一番苦労したところと、あともう一つは自分の中で成長したなと思うところを教えて頂けますか?

福山:そうですね、苦労は・・・いや苦労とは違うかな、やっぱり個人でやらせてもらう楽しさと難しさの両方が味わえるなっていうのがあったんですけど、テイクのOKを出すのが僕だったっていうところですよね。
これで行きましょうって決めるのも、もしかしたらプロデュースする立場の方からしたら当たり前のことなんですけど、演者ってアニメーションだったりだとか、いわゆるマスコミの仕事をメインにしてると、OKを出すのは自分じゃないんですよね。

もう一回やらせて下さいとか、そういうのはあるんですけれど、ただディレクターがOKを出して、でもやっぱり前のを使おうよとか、これ頂きますとかっていう決定を付けてくれる人が別にいるっていう。

その中で今回の作品ももちろんディレクターしてくれる方はいるんですけれど、僕もやっぱりディレクションする部分もあってっていう、「こういうので行きたいです」、「これは良いんじゃないですかね」とかっていうお互いの意思の疎通を図りながら、制作を進めて行くのは楽しくて面白いんですけど、その反面やはり自分が鈍っちゃうとダメなんだよなと思うと、難しいなって感じるところでしたね。

そして成長したっていうならば、成長なのかこれはダメになったって言ったら変ですけど、変に頑固になりましたね。

えっ、そうなんですか?

福山:決して悪い意味じゃなくて、今回の収録の時もそうなんですけど、例えばリーディングでやっていて、トチっちゃって、じゃあ、続きからやりますっていうのが、すごくやりたくなかったんですよ。

だから最後の一文字でトチろうが、頭から全部やりますっていうのが、もちろんCD一枚分ではなくて、それぞれのトラックを録っている時にではあるんですけど、そのCDにする段階で良いところっていうのはもちろん必要だとは思うんですけど、やる上でそれを折り込み済みではやりたくなくて、必ずもう頭から最後までやれなきゃ、イヤです!ってということで、何回も何回も聴いてもらったりしたんですけどね。

だから一番長かったのが、トラック3の「遭遇」なんですけれど、時間にして約4分あるんですけど、ここが一番転換も多くてスピーディーでテクニカルな部分が多かったので、これはもう何回ぐらいやりましたかね、10テイク以上やりましたね。
上手く行っていてもミスった部分があると、頭からやらせて下さい!みたいな感じで(笑)。

リーディングはなるべくライブをやるという前提の元でやりたいので、レコーディングの作業の中でもちろん自分のテンポだけでやれないものもあるので、難しい部分も多少あるんです。

でもやれないことはないんだからやろうってなって、でもこれを積み重ねないとスキルアップもない、技術的なスキルアップもなければ、伝えるっていうリーディングというビジュアルの無いものを伝えるっていうことの一番の大切なものって何だろうって思うと、そういったこだわりとかじゃなくて、頭からちゃんと1分で人の声によってアナログで伝えなきゃいけないっていう意志の部分もあるんじゃないかなっていうのがあったので、これはもう自分のプロジェクトでやらせてもらったワガママと言いますか、それはなるべくこれからもやって行きたいなと思うんです。

でもそれをやったお陰で普段の声優のお仕事とかでも、途中からっていうのが本当にイヤで(笑)、レコーディングとかでゲームとかだったりすると、「ここからお願いします」とか言われたりするんですけど、「頭からお願いします」みたいな感じでやったりするケースも出て来ましたね(笑)。

プロ意識がより上がった感じですね。

福山:プロ意識というか、それでも「ここのところが良いから、こっちを使わせてくれ」って言われたら、それは従うんですけど、許されるならみたいな感じですね。

すごいですね。確かに聴いていて長く喋られているところとかはどうしているのかな?と思っていたんですよね。

福山:2年半前にリーディング・ライブを「Love Letters」1と2のものを一本にしてやった時に、約70分間リーディングをやったんですけど、結構、体力的に大変だったんですね。

だけどたかだか70分、これ2時間の朗読劇を仮に一人でやるとなったら保たないよねって、じゃあ、やれるようにならないとなっていうのはありましたね。

僕らは収録作業が多い分、一回しで長時間やるっていうことには慣れていないっていうのが露呈したので、もちろんその舞台でリーディングは出来たんですけど、一日2公演を出来るだけの体力というか、口回りの筋肉は対応出来てないなっていうのを、その時に感じたので、それが出来るようにならないと僕としてはイヤだなぁと。

そういうことでいろいろなものが見えて来るということですよね。

福山:ですね、やっぱりやらないとわからないケースがあって、これが2時間の朗読劇でも二人だったら可能なんですよね。
どんなに長台詞があっても二人なら出来るのが、でも一人で2時間は出来ない、じゃあ、何でだっていうのはありますね。

なるほど、間があんまりあり過ぎるとお客さんの集中力も途切れてしまいますしね。

福山:ですね、なので音楽というものが、共演する相手と同じ以上の役割をしてくれるんですけど、その中でやっぱり曲目によってはテンポが速く、そして長い時間やり続けるものがあって、ライブでも今回の「遭遇」はやることになるので、レコーディングで出来なきゃライブでも絶対出来ないよっていうのもありますから、突発的に出来ました、ハイ、オッケー!っていうのは、やっぱりイヤだなって。

じゃあ、基礎体力みたいなものを上げないといけないということですよね。

福山:そうですね、もちろん肺活量とかそういうことではなくて、自分の普段仕事で使っている口回りとか、そこら辺の体力をシッカリと付けないとなって思います。

でもそのスキルがドンドン上がると、いろいろな活動の幅も広がりそうですし、ライブもいっぱい見れるようになるでしょうから、ファンの方は楽しみですよね。

福山:もっともっと出来るようになると、さっき冒頭に言っていた読み聞かせみたいなものとかもいろいろ出来ることが増えて来るんだと思いますね。

楽しみですよね、今回、初回盤にはDVDが付くんですけれども、こちらの内容を少しだけ教えて頂けますか?

福山:「目隠しの真実」をミュージックビデオとして作成したんですけれども、五感への旅、ちょっと不思議な空間への旅、そして祭りという、そういった非現実のテーマもあるので、そしてビジュアルとしては東洋というイメージを、普段、僕も声優をやらせてもらってたりするだけじゃなくて、二次元のこういったものに実際の僕の映像を合成して異空間への旅をしているイメージを読んでるもののタイトルバッグに、というテーマがありました。

僕が映像を撮っている時は、合成の素材は止め絵ぐらいしかなかったんですけれど、実際に映像が出来上がって来るとですね、監督を始め、クリエイターの方がいろいろなアイデアと時間を掛けて下さって、見ていて大変面白いものになったんじゃないかなと思っていますので、こういった形の僕を使ったクリエイター達の遊び方も楽しんでもらえたらなと幸いです。

そしてPVを収録している時、ジャケットを撮っている時のメイキングも入っています。
こういう空気の中で撮っていますっていうのがわかるようになっていますね。

それは興味深いですね。

福山:はい、もう出来上がりを見て、ここまで作り込んでくれるだなと本当にビックリしました。

すごいシュールな感じで興味深いなと思いましたね。

福山:シュールなのは良いですよね。
僕は絵画とかもシュールレアリスムのやつとか好きなので。

じゃあ、ファンの方にも是非見て頂きたいですよね。

福山:そうですね。

では少しアルバム以外のお話しもお伺いしようと思うんですけれども、もし自分自身を客観的に見たらどんなタイプの人だと思いますか?

福山:あぁー、もう本当に一言で片付けると天の邪鬼ですね。

えっ!?(笑)

福山:完全に天の邪鬼ですね。
これが流行っているよって言われたら絶対それは選ばないとか、これが良いよねって言われたら、そこは嬉しいんですけれど、それ以外のところを伸ばそうと。
良いんだったら、ここも伸ばしつつ他のところも目を向けないとなとか、何かこう一つのことに対して反対のことを考えるっていうのが、典型的な天の邪鬼ですね。

そうなんですね、それはなぜなんですか?

福山:何でなんですかね、でも僕の根本的に“僕ってこういう人だよね”っていうのが、みんな共通見解で同じ人物になるのがイヤだっていうのがあって(笑)。

10人いたら10人とも、その人に取っては僕ってこういう人だよねっていう確固たるものがあって良いんですけど、人によってバラバラの方が良いなって、こういうこと言うとおかしいなって思われるかもしれないんですけれど、僕が仮に何十年後かに死んで葬式になるじゃないですか、仲間達が集まったりとか、先輩、後輩とかが集まったりして、いろいろ僕のことを話す時にみんなの言っているイメージが違い過ぎて、えっ?どうこと?ってなったら良いなっていうのがあるんですよね(笑)。

なるほど、興味深いですね(笑)。

福山:そういうのが良いですね。

そういう方だったんですね。ではもし明日から1週間お休みが取れたら何をしますか?

福山:そろそろ、そこで部屋を片付けるって言わないようにしたいんですけど、まず1日死ぬ気で頑張って部屋を片付けて、後は出来れば茨城に行きたいですね。

「Love Letters 2」のPVを撮ったカフェがあるんですけど、そこにプライベートで行きたいってずっと思っているんですけど、まだ行けてないので1週間あったらその内の2日くらいを泊まり付きで行って、後は静岡に行きたいです。

静岡の茶畑に行きたいんですよね、回りが本当茶畑だらけのところをただ散歩するっていう。

お茶を摘むとかではなくて。

福山:じゃなくて、僕は茶畑の規則正しい緑の並びっていうのがものすごく好きなんですよ。

すごいですね。どちらもそうなんだ!って感じですね(笑)。

福山:はい、あんまり共感を得られないんですけれど(笑)、それで良いんです、はい(笑)。

なるほど、ではお部屋の掃除と茨城と静岡ですね。

福山:はい!

では今年後半戦が残されているんですけれど、2013年の後半戦に向けて新しくやってみたいものを教えて頂けますか?

福山:新しくやってみたいものですか?わー、どうしよう!
新しくやってみたいというか久し振りに舞台をやる予定だったんですけど、その公演自体が無くなっちゃったので、自分の中の挑戦が今無くなっちゃんですよね。
なのでどうしようかな?って探しているところだったんですよ。6、7年振りぐらいに芝居をやる予定だったんですよね。とりあえず今はそれが白紙になってしまったので。

じゃあ、ちょっと心にポッカリと穴が空いている感じですかね。

福山:ポッカリというかそろそろ準備しないとなとか、走り込みとかいろいろやろうかなとか思っていたので、あれ!楽出来るようになっちゃった!って(笑)。

では新たに見つけて頂きたいですね。

福山:はい、探します!

では最後になりますが、ファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

福山:お陰様で自身のアルバムとしては4枚目、「Love Letters」としては3作目のアルバムを出せて頂くことになりました。
今回もBeat Hit Rhythmさんのお力を借りて、そして岩里さんの素敵な詩とこのPVで関わって頂いたみなさんのお力を借りて、初めての人には面白くもしくはどういうものだろうと興味をそそるような、そして知っている方にはまた今までとは違った雰囲気のリーディングとイメージを伝えられる1枚となっていると思いますので、是非ともお気になった方、そして楽しみにして下さっている方は手に取って、耳に入れて頂けますと幸いです。 ビジュアルの方もいろいろと遊び心もあり面白い不思議な写真もありますので、そこも楽しみにして頂けたら幸いです。

ありがとうございました。

福山:ありがとうございました。

(Interview:Takahashi
2013年5月中旬)
アーティスト近影

要チェック!

声優としても活躍中の福山潤が前作「福山 潤、愛を歌う!」以来、約2年振り、そして「Love Letters」シリーズとしては3年振りの3作目のとなるニューアルバム「Love Letters 3 ~祭りの国で」が5月22日にリリースされます。

「Love Letters」とは独特の演奏スタイルを持つアーティストのオリジナル楽曲にのせて、福山潤が架空の旅先からの綴った手紙を読み上げるという独特のリーディングスタイルが好評を博しているトラベリングポエム・シリーズ。

第3弾となる今作は、和太鼓、タップ、サックス、ヴァイオリンからなるユニット“Beat Hit Rhythm”の生み出すサウンドに乗せて展開される、五感を旅するという独自の世界観に、知らず知らずに内に耳と心を引き込まれてしまうような作品となっています。

そしてリーディングポエムだけではなく、今作のオープニングテーマとしてスピード感溢れるロックテイストの楽曲「目隠しの真実」、広がりのある爽やかなサウンドのエンディングテーマ「トラベリンマン」、挿入歌にはあの人気曲の音頭バージョンである「気になるアイツはポンチョ~ヌ音頭」の3曲の楽曲が収録されており、こちらも聴き逃せません。

歌手として声優としての福山潤の声の魅力、表現力を存分に堪能出来る作品となっています。
彼の声を道案内に、あなたも一緒に摩訶不思議な世界へ旅をしてみませんか?

福山潤 OFFICIAL WEBSITE

福山潤 ビクターエンタテインメント内スペシャルサイト:
http://www.jvcmusic.co.jp/fukuyama/?blog
福山潤 オフィシャルブログ
気になるアイツはポンチョ~ヌ:
http://ameblo.jp/junfukuyama/

プロフィール

福山 潤(ふくやま じゅん):
11月26日生まれ
大阪府出身
血液型:A型
身長:170cm
特技:剣道、柔道
青二プロダクション附属養成所青ニ塾 大阪校13期卒